上場地銀の6割が減益・赤字という。今更だが、「金利上昇に備え処理急ぐ」などの報道を目にした。しかし、本当は処理したくても「勇気がなくてできない」、「処理後の運用方法がない」というのが実情だろう。

私の母国である米国も、地銀や新興銀行の運用能力は誇れたものではない。昨今のSVBの経営破綻などが良い例である。そもそも銀行経営は非常に難しい。そして銀行は公共性が高いと言っても、民間企業である。国有化でもしない限り、当局が完全に関与・指導するのは無理な話である。

そもそも、人口が減少し地域経済が衰退している日本に、これほどまでの数の地銀が必要なのであろうか。つまり、存在意義の話である。高度成長時代には長期信用銀行が必要とされ、「日本興業銀行」「長期信用銀行」「日本債券銀行」の3行が存在していたが、2000年代初めには全て姿を消した。

信用金庫も過去30年間に、454金庫から現在は254金庫までほぼ半減した。いわゆる第一地銀も現在は63行と減少傾向にあるが、都道府県の数(47)よりもまだ多い。

信用金庫は「銀行」ではない。完全な地域金融であり、高度な金融サービスの提供は必要としない。一方、地銀は紛れもなく「銀行」である。しかし、メガバンクとの運用能力の差は歴然としている。この差は30年も40年も前から何も埋まっていない。その理由は簡単だ。「意味のないプライドと驕り」である。

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