日本の10年国債利回りは昨年12月までは日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)で0.25%の上限で抑えられているはずだったが、日銀の2度の政策修正もあり、いつの間にかすでに0.8%に到達している。日本でも金利上昇がすでに始まっているのだ。

日本の過去30年近い低金利は、①円高、②中国の経済発展、という2つの理由が大きかった。1990年代は日米貿易不均衡を是正するための米国政府による円高誘導、2008年のリーマン危機以降は欧米の金融機関が弱体化するなかで相対的に健全な日本への資金逃避、という理由で日本は円高に苦しめられてきた。さらに、1990年代から中国が世界経済に参入し、隣国の日本は低賃金の中国の労働力との競争にどの国よりも強く晒された。

しかし、今では日本は企業の海外進出が進みすぎて貿易赤字となり、止まらない円安が問題となっている。また、世界が分断化に向かうなかで、今年のG7広島サミットでは「デリスキング」(中国との経済関係におけるリスクの低減)が打ち出された。もうすでに低金利を支えてきた要因は大きく変化しているのだ。

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