12月19日に日銀は広く予想されていた通りに全会一致で0.25%の利上げを決定し、政策金利を1995年以来30年振りの水準である0.75%まで引き上げました。
しかし、為替市場では逆に円安が進行し、ドル/円が157円台後半に達したほか、ユーロ/円も184円台と過去最高値を更新しました。
私は2週間前の本稿で「円安の修正に日銀の利上げだけで十分か?」について論じ、以下のように指摘しました。
「そうなると重要になるのは、日銀が12月の会合後に打ち止め感を出さないことに成功するかどうかです。そうしなければ、為替市場では『噂で買って事実で売る』(buy the rumor, sell the fact)という展開となる可能性が十分にあるからです」
「12月会合後の日銀および植田総裁の市場との対話のスキルが試されることになると思われます。ただ、日銀がどのようなコミュニケーションを行うとしても、市場が利上げ予想を実際に上方修正してくれるかどうか、という問題が究極的に残っています。日本経済が利上げに耐えられるくらいに強いと説得できなければ、追加の利上げ余地は小さいということが市場の結論となってしまう可能性があるからです」
実際には、「噂で買って事実で売る」展開になったと言わざるをえません。
日銀のコミュニケーションが市場で期待されていたような内容ではなかったからです。
