ウクライナで故郷を失い、この美しい日本に辿り着いた私は、心からこの国の平和を愛しています。
桜の静けさ、人々の礼儀正しさ、そして何よりも当たり前のように流れる穏やかな日常。
しかし、その平和を語る日本の議論を聞くたび、私の心は戦場に戻ったかのような冷たい恐怖に襲われます。
ニュースで毎日取り沙汰される「台湾有事」や、自衛隊の出動条件となる「存立危機事態」という言葉。

これらは、本来であれば国民の生活が一変するほどの切迫感を伴うはずです。
それなのに、私たちが目にするのは、テレビ討論で交わされる専門家たちの冷静すぎる分析や、どこか他人事のような政治家の言葉です。
まるで、現実世界とは隔離された、遠いゲームのシナリオを議論しているかのような軽さ――。
これが、「平和ボケ」という甘い言葉では済まされない、致命的な危機感の欠如に見えるのです。
