同志の医師が、安らかな最期を迎え、その志を私が引き継いでから数ヶ月が経ちました。久しぶりの寄稿となります。
私の病院には、尊厳死や安楽死を望む患者さんやそのご家族からの相談が後を絶たず、この数年で特に増えているのを感じます。
夏休みを数日取ることができ、この間に皆さんにぜひ知っていただきたい、共通の知識をまとめてみました。
がんと診断されると、多くの患者さんとご家族は「とにかく病気を治すこと」に全力を注ぎます。
抗がん剤治療はその最たる例です。
少しでも効果が見えれば、「このまま治療を続ければ、きっと治るかもしれない」という希望を抱きがちです。
しかし、医師として、私はその希望が時に悲劇へとつながる現実を、いくつかの具体的な事例を通して伝えたいことがあります。