7月22日付の本コラム(「自民党の『死ぬ瞬間』」)では、死を宣告された末期患者が(1)否認、(2)怒り、(3)取引、(4)抑うつ、(5)受容という5つの段階をたどるという米国の精神科医エリザベス・キューブラー=ロスの報告にたとえて、参院選直後の状況を以下のように指摘しました。
『死ぬ瞬間』の5段階では、「否認」と「怒り」の後に、「やがて自分の病を否認できないと知ると、死を先延ばししようと取引をする」段階に入ります。
政権運営が行き詰まると、自民党は連立の拡大を本格的に検討するかもしれません。
そして、「病気は治る見込みがないと知ると、希望を失い絶望して抑うつ状態」に陥った後、最終的に「受容」に至ります。
自民党は9月2日に参院選の敗因の総括を発表する予定です。
8月29日に総括委員会で示された報告の素案では、
(1)物価高対策として公約に盛り込んだ現金給付が(野党が掲げた消費減税に対して)有権者の理解を得られなかったことに加えて、
(2)「政治とカネ」問題、
(3)「運のいいことに能登で地震があった」という失言、
などが指摘された模様です。ただ、「石破茂首相(党総裁)ら執行部の責任に触れていないとの異論があり」(時事通信)、この会合での取りまとめは見送られました。
「死ぬ瞬間」のたとえを使うと、石破政権はまだ「否認」と「怒り」の状態のままで、延命のための「取引」の段階にも至っていないと言えるでしょう。