2025/08/01
Reddish-Brown
「へい、らっしゃい!」
威勢の良い声が、今日の私の始まりを告げる。
半世紀以上前、この道に入ってから変わらぬ朝のルーティン。
豊洲の喧騒をくぐり抜け、今日一番の魚と出会い、シャリを合わせ、魂の一貫を握る。
この小さな鮨玉に、私の人生のすべてが宿っている。
客の口から漏れる「美味い」の一言。
それは、この道を歩む私にとって、何よりの勲章だったはずだ。
しかし、最近はその言葉が、空虚な響きを帯びることがある。
2025/08/02
2025/07/31