ピント外れだったNHKスペシャル『イーロン・マスク』
私のこのコラムは毎週の経済や市場の動きを主に解説していますが、今週はお盆休みということもあり、少し長期的なテーマを論じたいと思います。
その一つの理由は、8月10日に放送されたNHKスペシャル『イーロン・マスク』を視聴して愕然としたためです。
この番組は政府効率化省(DOGE)の批判を長々と取り上げていますが、周知の通り、マスク氏はすでにDOGEから撤退しています。
後半でようやく「テックライト」がテーマとなりますが、その中心は「バンス副大統領の友人であり、マスク氏が新党立ち上げに当たって会談したとされる人物」とされるカーティス・ヤービン氏のインタビューです。
官僚、大学、既存メディアで構成される「大聖堂」を批判し、「説明責任のある君主制」を提唱するヤービン氏の思想を、NHKはトランプ政権やマスク氏と結びつけて問題視しているようです。
番組ではヤービン氏のインタビューの後に「No Kings」を叫ぶデモの映像が映し出されました。
テクノ・リバタリアンについて調べ始めたばかりの人は、単なるブロガーにすぎないヤービン氏を過大評価する傾向があります。
マスク氏やピーター・ティール氏には政策に関する著作がなく、その思想を理解するには発言や行動を注意深く追う必要があるためです。
ヤービン氏の主張は過激で分かりやすいですが、トランプ政権を左右するほどの影響力はありません。
人工知能の津波