私は先週の本稿で、日米関税合意が成立した背景には「日本側が提案した投資計画がAIをはじめとする戦略分野への投資を強化しようとするトランプ政権の方向性と合致した」ことがあり、「どのように米国の技術革新を日本の成長戦略に結びつけていくべきかという視点が重要」だと論じました。

 

赤沢・経済再生相が7月29日のYouTube番組で明らかにした日米交渉の経緯によると、私の見方は大きく間違えていなかったようです。

 

 

赤沢氏によれば、トランプ大統領の基本的な考え方は「ドンと関税を課すと相手の国は, かしこまってドンと関税を下げてくる。そうすればアメリカ製品が安く入るので米国の貿易赤字が減る」というシンプルなものでした。

 

しかし、日本は2019年に安倍政権とトランプ第1期政権で合意した日米貿易協定で対米関税をすでに加重平均で0.8%まで引き下げており、残る農産物の関税を全て引き下げても貿易収支への影響はそれほど期待できません。

 

このため、日本は対米投資が6年連続世界一の「特別な国なので特別扱いをしていいでしょ」と日本側は当初から主張したそうです。

 

 

米国側は初回の交渉で「大統領が言っていることと違う」と怒り、5月の3回目の交渉では「関税を全然下げないならもう会わないぞ」という閣僚が出てきました(グリアUSTR代表は3回目の交渉を最後に出席していません)。

 

トランプ政権は当初は経済安全保障を関税と全くリンクしておらず、「こいつ何言ってんだろう」という感じでしたが、「じわじわと日本と組むのは悪くないな」となってきたようです。

 

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