2月28日のトランプ大統領とゼレンスキー大統領の決裂に続き、3月3日に米国がウクライナへの情報共有を含めて軍事支援を一時停止したことを受け、先週は欧州にとって歴史的な転換点となりました。
まず、EUのフォンデライエン委員長は3月4日、防衛力の強化のために最大8000億ユーロの資金の確保を目指す「再軍備計画」を発表しました。
これは、EUが1500億ユーロを調達して加盟国に融資することに加え、各国が国防費を平均でGDP比1.5%増額(4年間で6500億ユーロ)するためにEUの財政赤字の上限(GDP比3%)を緩和するというものです。
この提案は6日に開催されたEU特別首脳会議で全加盟国により合意されました。
さらに、ドイツでは2月23日の総選挙後、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)が連立交渉を行なっていますが、3月4日には憲法に定められた債務ブレーキ(財政赤字をGDP比0.35%に制限する条項)を事実上解除し、国防支出とインフラ投資を拡大することが合意されました。
具体的には、国防費のうちGDP比1%の超過分は債務ブレーキの対象外にするとともに、5000億ユーロの特別基金を新たに設立します。