2024年を振り返ると、さまざまな出来事が投資家の関心を引きました。
例えば、2月には日経平均株価が34年ぶりにバブル期の最高値を更新し、外国為替も年初から12%近く上昇。
米国株(S&P500指数)は10数%上昇し、終値ベースで過去最高値を22回更新。
依然として米国株への資金流入は強いトレンドを示しています。
このような状況は、個人投資家にとっても、株式投資に踏み出しやすい1年だったのではないでしょうか。
私の周囲でも、友人の奥様が親の遺産を米国株(S&P500指数)に投資し、株と為替差益で大きな利益を上げたという話を耳にしました。
その方は、毎晩シャンパンを娘さんと一緒に楽しむようになったとのことです。
このような成功談を聞くと、私たちもついその成功を追い求めたくなります。
しかし、私は長年国際金融の現場に携わってきた経験から、少し違和感を感じています。
アジア1の富豪である李嘉誠(リ・カシン)が食事会で言った「上がり続ける相場はない」「欲深く追いかけると損がやってくる」という言葉を、今でも強く覚えています。
ユダヤ系富豪のロスチャイルドやジョージ・ソロス(George Soros)も、「情報は買うもの」「知識は盗まれない」という投資哲学を語っています。
これは、過度に慎重すぎる考え方なのでしょうか。
実際、最近の投資市場では、投資を促す営業活動が強まり、新聞やSNSでは「投資!投資!」と毎日のように声をかけられています。
私の担当営業も同じです。
そのため、株式投資とは無縁だった層までが投資を始め、市場を語るようになっています。
私が懸念しているのは、日本人特有の性質です。
日本人は、清廉潔白な国民性を持ちながら、一度ある方向に動き出すと、皆が同じ方向に向かってしまう傾向があります。
この現象を目の当たりにすると、長年の経験を通じて培った違和感と危機感を感じざるを得ません。
過去30年近くの間に10度近く「ブラックスワン」を体験した私が心配していることをお話しします。