「自由がこんなにも眩しいものだとは、想像もしていませんでした。」
ソウルの私の会社で働く脱北者の社員が、そう言いながら微笑む姿が忘れられません。
彼が初めて韓国で迎えたクリスマス――特に12月24日――を語る言葉には、驚きと感動、そして北朝鮮での厳しい日々を振り返る静かな痛みが込められていました。
北朝鮮で生まれ育った彼にとって、クリスマスという文化そのものが未知の世界でした。
韓国の街中を彩る華やかなイルミネーション、響き渡るクリスマスソング、家族や恋人とともに笑顔で過ごす人々の姿――それは彼にとって、まるで別世界のようでした。
北朝鮮での同じ日、12月24日の風景は、それとはあまりにも対照的だったのです。
彼の言葉で語られる北朝鮮の「クリスマス」とは、どのようなものだったのでしょうか。
この先を読むと、彼が北朝鮮で体験した現実と、韓国で感じた「自由」の本当の意味が見えてきます。
「韓国で初めて迎えたクリスマスイブの日、街がこんなにも明るいなんて信じられませんでした。」
北朝鮮にはクリスマスという概念自体が存在しません。
12月24日は金正淑(キム・ジョンスク)夫人――北朝鮮初代指導者・金日成主席の妻であり、現指導者・金正恩総書記の祖母――の誕生日として祝われる日です。