近年、日本の大手証券会社が「プチ富裕層」層をターゲットにした電話営業を活発化させています。
この動きは、新たな富裕層の獲得を狙ったもので、直接の対面営業を減らし、効率的なコミュニケーション手段へシフトしています。
しかし、こうした電話による営業は、顧客とのトラブルが避けられない点でも懸念しています。
私も欧米の投資銀行で30年以上の経験を積んできた身として、現状には危機感を抱かざるを得ません。
「儲けたときは当たり前、損したときは営業マンの責任」という顧客心理は、対面営業が根強く残る日本の証券業界において避けて通れない問題です。
営業マンは顧客の投資判断を促すために、都合の良い情報だけを提供することも多く、それが短期的には営業成績を向上させる一方で、長期的には顧客からの信頼を損なうリスクも高まります。
言葉の行き違いから「言った・言わない」のトラブルが頻発し、特に相場が反転した際にはクレームが集中します。
証券業界には、顧客のリテラシー向上やリスク認識を深めるための教育が不可欠です。
これが、今後の証券営業が真の進化を遂げ、顧客と営業の摩擦を解消するためのカギとなるでしょう。
さらに、日本では「誰かと話したい」「判断が不安」「読んでも理解できない」といった理由でサポートを求める投資家が少なくありません。
金融業界が信頼関係を重視した営業モデルを築くことで、顧客とのトラブルを減らし、より健全な市場環境を育むことができるはずです。
今日、どこを見渡してもスキャンダルや告発の嵐。
私たちは、情報の洪水に飲まれながら、その表層に現れるニュースだけを受け取ってはいないでしょうか?
今回は、金融取引において、2つの予想事故を基に、私たちの判断や投資、そして人生に大きく影響を与えるリスクを考察します。
特に証券会社経営者や個人投資家の方々には、ぜひ意識しておいていただきたい内容です。
その1 「金融業界の録音の盲点」