総選挙を受けて「日本売り」に

 

週末の衆院選では、自民党が191議席、公明党が24議席で合計215議席にとどまりました。

 

 

非公認で当選した平沢氏、萩生田氏、西村氏、(即座の復党の可能性は低いですが)世耕氏の4名を加えても219議席と過半数(233議席)を下回っています。

 

ただ、立憲民主党も(50議席を増やしましたが)148議席と自民党を大きく下回っており、日本共産党(8議席)、れいわ新撰組(9議席)、社会民主党(1議席)、松原氏の1議席を足しても167議席しかありません。

 

一方、立憲民主党は「政権交代こそ、最大の政治改革」と主張してきた以上、自民党との大連立は(首相を得られるならば別ですが)あり得ないでしょう。

 

このため、立憲民主党と距離を置いている国民民主党(28議席と4倍増)、維新(38議席)の動向がカギを握ることになります。

 

自民党にとって最も望ましいのは、自民・公明・国民民主党への連立拡大でしょうが、もはや国民民主党の議席は公明党を上回っており、単独でも衆院で法案を提出できる規模となったため、連立与党側が譲歩しなければ、交渉は容易ではないでしょう。

 

玉木代表は連立入りを繰り返し否定していますが、「政策を実現できるよう、協力できるところとは協力していきたい」とも発言しており、閣外協力から始めるのではないかと思われます。

 

 

首班指名のための特別国会は投票日から30日以内に召集されますが、現時点では11月7日が有力視されています。

 

1回目で過半数が得られなくても上位2名の決選投票があり、国民民主党や維新が棄権するならば、自民党の候補が勝利する可能性が高いでしょう。

 

自民党では、小泉選対委員長が責任をとって辞任しました。

 

 

石破首相の去就が注目されますが、おそらく現時点では続投の可能性が高いと思われます。

 

政権運営が完全に不可能になるほどの大敗ではなく、(潜在的なライバルの)高市氏を支持していた議員の多くが落選したためです。

 

さらに、本当に重要なのは来年7月の参議院選挙です。

 

 

参議院の任期は6年間で固定のため、参院選で負けると「ねじれ国会」で長期にわたり政治がマヒするためです。

 

 

そうしたタイミングも考えると、現時点で首相を替える意味もあまりありません。

 

ただ、首班指名は11月5日の米大統領選挙(日本時間で6日に結果が判明)の直後となるため、米国の動向も一定の影響を及ぼす可能性があります。

 

総選挙の結果を受け、ドル円はすでに153円台でスタートしています。

 

 

外国人投資家は、自民・公明・国民の連立での玉木首相就任の可能性も含めて、日本で何か変化が起こるかどうかを注視していました。

 

石破首相は就任後に発言が一変したことから、すでに信頼を失っています。

石破首相が続投するという見方が強まるとともに、失望感から「日本売り」の動きが強まるでしょう。

 

今週は31日に日銀の金融政策決定会合がありますが、政策変更はなく、植田総裁も追加利上げについて明確なメッセージを出すこともできないでしょう。

 

金曜には10月米雇用統計が発表されますが、弱い結果となったとしても、ハリケーンやボーイングのストの影響により解釈が難しくなりそうです。

 

 

このため、日本の総選挙後の政治動向と11月5日の米大統領選挙の見通しが市場の主要なテーマとなりそうです。