【健康な時期に考えておくべき問題であり、相続について考える前の課題かもしれません。】
日本には、先祖を弔う特有の文化「お盆」があります。
多くの日本人が、この時期に「死」について考えることでしょう。
しかしながら、日本では仏教徒が多いにもかかわらず、「死の意味」や「死後の世界」についての教育はあまり行われていません。
「死後の世界」については、個々の思想に深く関わる問題ですので、私から意見を述べることは控えます。
仏教の教えにおいては、「ブッダは死後を“無”であると説いた」とする人もいれば、「霊の存在」を信じる人もいます。
私は医者であり、肉体と思考が朽ちた後のことについては、知識を持ち合わせておりません。
そこで、今日は「死の意味」についてお話ししたいと思います。
すでにお伝えしておりますが、私には残された時間が限られています。
そのため、皆さんには、ライフスタイルを含めて「死の意味」を考えていただきたいと願っています。
日本においても尊厳死に関する運動が徐々に活発化してきました。
リビングウィルの考え方自体は社会に広く受け入れられ、医療現場でも対応が進んでいます。
しかしながら、リビングウィルに関する具体的な法律は、まだ制定されていません。
核家族化が進んだ現代社会では、多くの人が他者の死に触れる機会が減り、死をリアルに想像することが難しくなっています。
そのため、たとえどこで、誰が「安楽死」や「尊厳死」を議論しても、実感の伴わない空虚な議論に終わりがちです。
だからこそ、「死」というものが遠く感じられる今だからこそ、その意味を深く考えることが大切なのです。
今日は、そのことについて少し考える時間を持っていただければと思います。