先週金曜に植田日銀総裁が国会で「緩和の度合いを調整していくという基本的な姿勢に変わりはない」と表明し、パウエルFRB議長がジャクソン・ホール会合の講演で利下げを事実上予告したことで、ドル円は143円まで修正が進みました。
こうしたなか、ヘッジファンドの「円キャリー取引」を円安の原因と主張してきた日経新聞の論調が変化しつつあります。
日経新聞は8月23日に「円キャリー、株安の犯人ではない シティG証券の星野氏」というインタビューを掲載し、「一般的に円キャリーは、円売り・ドル買いのポジションを持つことで日米の短期金利差を収益にしている。
円で調達してドルに替え、株などに長期投資する海外の投資家はほとんどいない」という発言を紹介しました。
また、日経は8月26日にも「円相場143円台に急伸 封じられた円キャリーマインド」という記事を配信し、「市場では絶対的な日米金利差を背景に円を売ってドルなどの高金利通貨を買い持ちにする「円キャリー取引」への未練が残るものの、海外投機筋の一部はそのマインドを封じ込めようと積極的に円買いを進めている」と書いています
(日経がこれまで円キャリー取引の首謀者として名指ししていた「海外投機筋」はいつの間にか「封じ込める」側に回ったのでしょうか?)
日経新聞はまだ「円キャリー取引」のストーリーに「未練」があるようですが、実際には私が以前も書いたように、海外投資家が「低利で借りた円を元手とした高金利のドルなどへの投資」を行なっていた事実はありませんでした。