とうとう、ホンダとヤマハも、50㏄の「原付き」生産を終了することになった。
規制の強化と発表しているものの、根本的には「全く売れない」からだ。
発表によれば、2023年の50cc以下の国内出荷は9万2824台と、比較可能な範囲でピークだった1982年(278万4578台)の3%にすぎない。
それを考えると、まだ生産を続けていたこと自体が奇跡とも言える。
アメリカの企業なら、とっくに生産中止を決定していたことだろう。
現在の街中では、電動アシスト自転車や電動キックボードが身近な足となっており、近距離の移動手段は明らかに世代交代している。
さらに、自治体によっては、補助金が使えることで原チャリよりも電動バイクが割安で購入できる。
日本だけでなく、中国やベトナムでも「庶民の足」として広まった日本の原付きが、姿を消していくことは、時代と文化の変化を受け入れるしかない。
原付きの発明は、電動アシスト自転車や電動キックボードなどの需要を生んだことは間違いない。
それはある意味、Amazon以上に庶民に寄り添った文化を生み出した発明だった。
電動アシスト自転車や電動キックボードの時代の「巻き込み事故」についての話はあまり知られていない。
しかし、10年以内に姿を消すであろう「原付き」への短い追悼の時間を設けたい。
時代の検証者にもなる記憶を止めることは、無駄にはならない。
少しお付き合い願いたい。