このシリーズは、読者の皆さんが徐々に韓国をより深く理解することを目指しています。
セレンは、情報を簡潔に、現地からの視点で、そして、読者が何かを得るためにゆっくりと伝えていきます。
多くの日本人は、北朝鮮を不気味で予測不能な国と認識しているかもしれません。
アメリカも北朝鮮を悪の枢軸国と見なしています。
しかし、我々と同じ東洋に位置する国を単純に理解しきれないと決めつけるべきではないと考えます。
私たちの隣国である韓国からは、経済や技術発展の面で多くを学ぶことができます。
私自身も韓国人の妻と義父母と共に30年近くソウルに住んでおり、韓国企業の技術力の進化には驚きます。
特に、韓国のグローバル企業のR&D力は非常に高く、「世界トップ」を目指し続けています。
彼らは特に電気自動車バッテリー、水素燃料電池、LNG船舶、ディスプレイ、5G、半導体、電気自動車市場などの先端分野で、技術力を持ってグローバル市場をリードしています。
サムソンも、早くからイスラエルにR&D拠点を設けるなど、世界市場を基盤にした体制を整えています。
今回は、韓国人の「統一性」について、そして韓国が「北朝鮮に対して最も恐れていること」についてお話します。
これらを理解することなく、韓国とのビジネスを試みたり、韓国について語ることはリスクしかありません。
韓国人が大好きな「統一性」
韓国人が北朝鮮を恐ろしい国と認識しない理由は、そのルーツが自身と同じ李朝にあるからです。
彼らは、同じ李朝という親を持つ一族として北朝鮮を理解しています。
詳細な歴史は省略しますが、「李朝を理解することで、韓国と北朝鮮の理解が可能になる」というのがポイントです。
日本のメディアやコメンテーターが理解していないのはこの点です。
韓国人と北朝鮮人は、統一性にこだわり、美的感性もその理念に沿っています。
整然とした統一の美と言えば、北朝鮮の人文字やマスゲームを思い浮かべる人も多いでしょう。
彼らはインテリアや服装においても、色やトーンを統一することを好む傾向にあります。
我が家も妻と義母のセンスで原色基調のインテリアになっています。
自然な色やトーンを好む私にとって、その色使いはとても困難な決断でした。
また、コーヒーカップやティーカップ、食器もすべて統一されています。
これは韓国の食器店を訪れれば一目瞭然です。
一方、日本人は色彩を混ぜ、少しズレを楽しむのが特徴ですが、韓国人と北朝鮮人の美意識が理念的に同じです。
それは、溌溂とした若さ・強さ、最盛期の理想的な美への一極集中という美意識です。
朝鮮半島人は一元性志向を持っています。
この理念は、整形大国である韓国からも見て取ることができます。
朝鮮民族伝統の「美人病」です。
美しくあることが求められる理念です。
「見かけ重視」が基本です。
自信を持っている部分を強調する。
顔では目が重視され、特に目の周りの化粧は入念に行われます。
そして、頭から足の爪先まで一糸乱れぬ統一された装いが求められます。
鮮やかな輪郭、鮮明な色彩が身だしなみの基調となります。
韓国人は北朝鮮がイデオロギー国家であること、社会主義思想であり、自国とは異なることを理解しています。
重要なのは、同一民族・美意識が同じであること、そして韓国も北朝鮮も一つの史観しかないことです。
私の会社に入社した脱北者も、南北統一が実現すれば、東西ドイツ統合よりも早く融和すると語っています。
その根底には、朝鮮半島人が持つ「統一性」という理念があります。
この理解は必要です。
韓国が最も恐れているのは・・・
北朝鮮が全面的に破綻し、崩壊寸前の状態にあることを韓国人は理解しています。
彼らが懸念しているのは、崩壊のシナリオと時期です。
北朝鮮が社会主義非市場経済から自由主義市場経済へ向かうことが最善の選択とされています。
ドイツが西による東の吸収という形での統一は、韓国経済にとっての負担でしかないため、「吸収統一」の議論はすでに冷却化しています。
韓国経済の疲弊を回避する統一方法は多くはありません。
韓国が最も恐れているのは、追い詰められた北朝鮮が何をしでかすか、また、北朝鮮を追い詰めた責任を国際社会から問われることです。
私がコンサルティング契約を結んでいる大手韓国財閥の会長も、そのことを最も恐れています。
一部の韓国の思想家や政治家が「小中華思想」を唱えていますが、経済に悪影響を及ぼす南北統一はもはや現実的ではありません。
一つ言えることは、北朝鮮を追い詰めると、映画以上の惨事が起きるかもしれません。
その警戒感だけが
北朝鮮が存続できる力であることを
韓国人は知っています。