【日銀、田村審議委員の講演の英訳がようやく出ました!】(⇐クリック)
今週月曜日、Snow Whilte氏が寄稿で指摘した通り、やはり「ゆっくり」は、deliberately と翻訳されていました。
我々は常にグローバルな金融環境に生きています。
私自身、30年以上のキャリアを通じて、その大部分を海外で過ごし、国際金融の現場から直接見てきました。
その経験から、「日本銀行の政策が予想どころか理解しづらい」という声を、頻繁に外国の大手投資家から聞いてきました。
日本の金融政策に対するこのような認識は、難解な日本語の使用と、明確な意見が読み取れない発表が多いことに起因していると思われます。
確かに、英語ほど論理的で直訳可能なものではない日本語ですが、理解しづらいのは事実です。
この問題は、先週、海外投資家が「ゆっくり」をSlowlyと配信された記事を読み、deliberatelyという本来の意味が伝わらず、海外投資家主導で円安が加速した事件で顕著に示されました。
この誤解により、被害を受けた個人投資家も少なくありませんでした。
国際金融市場への影響と責任を考慮に入れ、日本銀行はなぜ日本語と英語での情報配信を同時に行わないのでしょうか。
外国人投資家の存在を軽視していたのでしょうか。
それとも、外国人投資家の動きを封じ込む意図があるのでしょうか。
長年国際金融に関わってきても、それはまだ謎です。
日本の経済情報配信も同様に問題があります。
特に、多くの読者を持つ日経新聞の記事ですら、2つの問題があります。
一つ目は、市場の方向性について中立的な内容が多いこと、二つ目は、信憑性に欠ける情報が提供されることがあることです。
これらの問題は、現場経験者の採用が不足していることが一因ではないかと考えます。
現場からの情報がなければ、投資家が判断を下すのは難しい。
また、外資系金融にも取材していますが、そのヒアリングが日本人に偏っていることや、トレーダーが真実を語らないことが理解されていないことが問題です。
外国人投資家は、現場情報が不足している為、日本への大きな投資が難しいと感じています。
この数日、米系大手運用会社ブラックストーン・ブラックロックのトップが岸田首相を訪問しています。
彼らの目的は、日本の金融資産の取り込みです。
日本の投資家マネーが海外市場への流出だけが良いわけがありません。
金融市場の現場から来た人々を積極的に採用し、より大きな世界のマネーを日本市場に呼び込むために、環境投資すべきだと考えます。
それは、日本銀行も財務省も同じです。
同じアジア経済圏の香港やシンガポールが、金融センターとして発展したことから学び取ってもらいたい。
生きた情報が英語でも同時に配信される時代が日本市場に来れば、より多くの外国人投資家が、日本に投資資金を傾けるようになるでしょう。
英語での情報配信は、金融機関のみならず一般企業においても、不可欠な時代であることは言うまでもありません。
(了)