私は「日本の台所」豊洲で元卸を経営している。
最近、日本の食卓から魚が消えてしまうのではないかという危惧を強く持つようになった。
セレンの場を借りて、今何が起こっているのかをお伝えしたい。
先日、広尾で人気の創作和食店のオーナーシェフ田中氏(仮名)が、いつになく沈んだ表情で突然挨拶に訪れた。
田中氏はいつも笑顔で、どんな料理も彼の手にかかれば芸術作品に変わるほどの腕前であった。
聞くと、10年間続けてきた店を畳んで、イタリアへ渡ることにしたという。
その数日後、熟練の寿司職人も日本を離れ、カタールの新店舗で働くことを決めたと挨拶に来た。
彼らが日本で料理人を続けることを諦めたのは、コロナが理由ではない。