堺屋太一の『団塊の後 三度目の日本』は奇妙な「小説」です。登場人物がただ議論をしているのみで、ストーリーや人物描写は二の次となっています。
おそらく堺屋は近未来のシミュレーションの形で日本のあるべき政策を提言することを意図しているのでしょう。
小説で展開される二つの大きな主張は、(1)「二都二道八州」による地方分権と、(2)「次世代日本人の移入」です。これは、官僚主導によって失われた日本の多様性を取り戻すことを主眼としています。
「二都二道八州」の「二都」は、東京都と大阪都を指します(小説中では、すでに大阪都構想が実現しています)。大阪都は、東京に大規模災害等が生じた場合に全国機能を代替できる副首都として、