昨日お伝えした通り、セレンはアルゼンチン大統領選挙でのミレイ氏の勝利について現地のエコノミストの意見を聞く機会を得た。議論の中で、意外にも「ドル化」が完全にネガティブと受け止められているわけではないという印象を受けた。

この背景には、中南米で経済のドル化が現実的に進行していることがある。アルゼンチンでは中古車の取引の80%がドルで行われているようだ。ベネズエラはハイパーインフレで2008年から2021年までの13年間で合計14桁のデノミを行った後、日用品も含めてドルで売買されるようになって経済がようやく回復した(それに伴い、ドルを求めてベネズエラから米国に難民が大量に押し寄せるようになり、政治問題化している。米国が10月にベネズエラの制裁解除に踏み切った背景には、石油の確保に加えて難民対策もある)。

それだけではなく、パナマ、エルサルバドル、エクアドルの3カ国は公式にドルを法定通貨としている。エクアドルは2000年に自国通貨スクレを放棄し、ドルを法定通貨とした。エクアドル中銀の現在の主要任務は、①国内での通貨の流通の保証、②経済の機能と健全性の監督、③外貨準備の保全・管理である。つまり、国内の流通に必要なだけのドルを確保して経済が円滑に機能するようにし、ドル資産を管理するのが仕事ということだ。

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