前回は、「IMFの予測では2023年に日本の名目GDPがドル換算でドイツに抜かれて4位になる見通し」というニュースを主要紙がどのように取り上げたかを比べてみた。しかし、率直に言って、これらの報道はいずれもポイントがずれている。以下に順を追って説明しよう。

IMFの予測では2023年のドル建ての名目GDPの成長率予想はドイツが+8.4%、日本が-0.2%となる見通しである。これだけを見ると、ドイツが高成長を遂げ、停滞している日本を一気に追い越したような印象を受ける。

しかし、自国通貨建ての実質GDP成長率(通常はこの数値が「経済成長率」として用いられる)の予測を比較すると、ドイツは-0.5%、日本は+2.0%である。日経新聞はさすがにまずいと思ったのか、2000年以降の成長を比較し、日本の「長期低迷」を論じているが、なぜ今年に逆転する見通しなのかを説明できていない(この点は朝日新聞、読売新聞も同様である)。

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について