先週の寄稿では、「トランプ政権がドルと米国債への信認を回復させることができるか」が最大の焦点だと指摘しました。

 

その後、ドル安は反転するには至っていませんが、米国債利回りは小幅ながら低下しました。

 

米国債市場を落ち着かせる上で大きく貢献したのは、やはり金融のプロのベッセント財務長官でした。

 

 

ベッセント長官は14日のブルームバーグTVのインタビューで、米国債の売りは主にレバレッジ解消によるものだとした上で、外国投資家の「投げ売りはないと思う」とし、外国政府が売っている「証拠もない」と述べました。

 

そして、「われわれがその気になれば(既発国債の)買い戻しを増やす事ができる」と表明しました。

 

 

先週も触れた通り、本邦金融機関の米国債売りがトランプ政権の関税延期につながったという無責任な憶測が一部で流れていましたが、これは噂になった金融機関によるコメントだけでなく、データによってもすでに否定されています。

 

財務省が4月17日に発表した週次の「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、4月6日-12日の中長期債への対外投資は-5,120億円と6週間連続の売越しになったものの、その規模は(年度末に当たる)3月30日-4月5日の-2兆5,699億円から大幅に縮小していました。

 

 

興味深いのは、4月18日にブルームバーグで「ドイツ銀の中国顧客、トランプ関税で米資産離れ-米国債保有削減」という記事が配信されたことです。

 

この記事では、営業担当者が「中国人投資家のポートフォリオで米ドルからの分散投資が一部見られる」、「欧州の高格付け債、日本国債、金が潜在的な選択肢となりそうだ」と語っています。

 

言うまでもなく、金融機関が顧客動向をメディアに話すことは通常はありえません。

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