日本に赴任して初めてのバレンタインデーを迎えたとき、私は驚きを隠せなかった。
英国では、バレンタインデーは恋人や配偶者が互いに贈り物を交わす日であり、時には家族や親しい友人にカードを送ることもある。
しかし、日本では「女性が男性にチョコレートを贈る日」とされていることを知り、不思議な気持ちになった。
さらに、「義理チョコ」という概念を聞いたときには、理解が追いつかなかった。
義理とはつまり「義務的に」という意味だ。
なぜ、感謝や愛情を伝えるはずの日に、義務感で贈り物をするのだろうか。
オフィスでは朝から女性社員がチョコレートを配る光景が広がっていた。
私のデスクにも、何人かの女性社員から小さな包みが置かれていた。
彼女たちは「お世話になっているので」と笑顔で手渡してくれるが、その背後には「渡さないと失礼になる」という暗黙のプレッシャーがあるようにも思えた。
ある同僚は「最近は義理チョコ文化も減ってきたけれど、まだ完全にはなくならないんですよ」と苦笑しながら教えてくれた。
そんな中、興味深いエピソードがあった。
日本の友人が「逆チョコ」の話をしてくれたのだ。