野村証券の元社員が犯した強盗殺人未遂と放火という凶悪な事件を受け、同社は迅速に対応に乗り出した。
社長をはじめとする経営幹部10人が報酬を自主返納するという発表には、多くの日本人が「道義的責任を果たした」と評価する声を上げた。
しかし、その裏側には、果たしてこの対応が本当に有効なのか、さらには国際的な視点で見て適切なのかという疑問が残る。
社員が犯罪を犯した場合に役員が報酬を自主的に返上する慣習は、日本特有のもの。
「道義的責任」や「謝罪の美しさ」を重んじるのは、日本独自の文化といえます。
この文化自体を否定するつもりはありませんが、世界的には「謝罪のみで十分」という考え方が主流なのです。
日本特有の「禊ぎ」の限界
こうした慣行をめぐり、週末に国際金融市場で活躍する数カ国の友人たちと意見交換をしたところ、彼ら全員が一様に首をかしげた。