仕組み債被害騒動を受け、EB債などの仕組み債の販売を停止している証券会社は少なくありません。
しかし、その一方で「高金利通貨建の債券」は、ネット証券などで引き続き販売されています。
この高金利通貨建の債券は、長年にわたり個人向けに販売されており、当初は南アフリカ・ランドを皮切りに、ブラジル・レアル、ロシア・ルーブル、トルコ・リラ、メキシコ・ペソと、対象通貨を次々に替えながら提供されてきました。
そもそも、高金利通貨建の債券は、高金利商品の姿をしていますが、実は変動率高い為替商品そのものです。(FX Play)
セレンでも、現役国際金融エコノミストが幾度となく指摘していますが、為替予想の賞味期限は数週間どころか、数日なものです。
数ヶ月前にメキシコ・ペソ債に投資した方が、現在収益を得ているかどうかはわかりません。
そんな性質を持った商品ゆえ、トルコリラ安によって多くの個人投資家が損失を被ったことは広く知られています。
現在の高金利通貨建の債券の流行はメキシコペソのようです。
私のもとにも、証券会社の営業マンが「中南米最大の経済圏であるメキシコ」「金利の高い米国と見なしてよい」などと、巧みなセールストークで投資を勧めてきます。
しかし、長年国際金融に携わってきた私には、その程度の理由で、投資を判断することなど到底できません。
なぜなら、メキシコの個別ファンダメンタルズや為替変動要因、リスクについての説明が十分ではないからです。
何故、日本の証券会社が伝えられないのでしょうか?答えは簡単です。
自社で各国に専門家を採用していないからです。
組成会社である外資系銀行に分析を丸投げしているだけなのです。
普通、いくつかの視点から根拠とロジックを見出し、確率論から投資への分析を判断します。
それを組成会社1社に任せていること自体も、非常に無責任に近いものとも言えます。
つまり、「伝えない」のではなく、「伝えられない」のである。
そんな商品が個人投資家市場に依然販売していることに危機感すら覚え、私は元同僚である著名なブラジル人エコノミストにヒアリングを行いました。
彼は大手投資銀行NY拠点の中南米担当チーフ・エコノミストを経て、現在はサンパウロに在住し、ブラジル最大財閥のエコノミスト兼政府シンクタンクのアドバイザーを務めている信頼おける専門家です。
もし、現在高金利通貨債券への投資を検討しているのであれば、最低限以下の質問にすら答えられない証券会社とは取引すべきではありません。
また、個人投資家の方も、以下の回答が理解できない場合は、「高金利通貨建」債券への投資を控えるべきです。
彼の回答が投資の一助になれば嬉しい限りです。
では、ヒアリング内容を紹介していきましょう。
Q1:メキシコは中南米において, どのような位置づけの国なのでしょうか?